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伝統の継続は難しい!

 

 

毎日ニュースで歌舞伎界の話で勝手気ままなコメントが出ていますが、受け継ぎ次世代へつなぐ難しさはどの世界でも同じ苦しみを味わっています。

時分にとって身に掛かる重圧は当事者でなければ分かりませんね。

継承者としてその立場に立った者、立とうとしている者、此れから立つ者にとっては、今回の歌舞伎界の事件は他人事では有りません。

芸、技術、技、全てにおいて相伝されるものは、その形を受け継ぎ、さらに自分の新しい創意を付加して先代を立てると共に自己を極めなければなりません。

 

先日ご縁があって、ある流派の御子息に会う機会がありまして、受け継ぐ難しさを聞きました。

ご子息は当代を受け継ぐことは出来ないと云う事で(仕事と家庭の都合)、最近は道場にも顔を出せる状態ではないと云う事でした。

幼少より稽古はされてきたと言う事ですが、先代の高弟の方に運営をお願いしているそうです。

 

自分が流派の継承者として奉られるのもどうか?と悩んだ時期もあったそうですが、今はご自身の肩の荷が下りてホッとしてるそうです。

先代からの伝承は自分の代で終わる、この怖さは受け継いだものでしか分かりません。

何処で線引きをするのか、全てを伝えたつもりでも、個人さによって捉え方は違います。

其れは私自身が受け継いだ時でも同じでありましたし、私の道場でも絵師たち其々の捉え方、身長・体重も有りますし、環境の違いもあります。

 

弟子達から見たらきっと厳しい言葉が帰って来るかもしれません。

今でいうパワハラであったりセクハラ?はないと思いますが、時代が違うと云ってしまえばそうなのかも知れません。

例えば芸事だとすれば厳しさは演者の最高のパフォーマンスを追求した結果で、お客様に喜んでもらえる、納得して貰える事への挑戦だと思います。

此れが武道であれば生死を掛けた戦いへの為の稽古、切られたら死しかないと云う事を体で覚える。

先代たちが代々の戦いの中で生き延びた導が形、だから形を大事にして受け継ぎ後世へ、そして更に研究して新しい技を創作して紡いでもらう。

 

芸でも武道でも技術でも、携わっている者でしか分からない物が有りますね。

TVでは第三者が色々とコメントをされているようですが、今は静かに見守ってあげる事ではないでしょうか。

同じ芸を、業界人としてしての立場として見ている方はおられるのでしょうか?

多分ですが、言うのは勝手的な所は有るでしょうね。

 

きっと今頃は、記者に業界の事を話した人は、俺の一言が、一言で・・・・記事を書いた人は、俺が書いたために、書いた記事で・・・等と様々な憶測を、また悩みからの自己嫌悪感を持たれているのではないでしょうか。

先程も述べたように、当事者でしか分からない師事の教え、並びに立場は有りますので、此れは仕方のない事なのです。

学校や普通の会社とは違いますからイヤなら辞めてもらう、逃げる事も出来ますのでご自由にしてください。

来る人拒まず去る人追わずが基本の世界です、気にする必要は有りません。

逃げる事も恥ですが役には立つ????TVで聞いたような言葉ですが、生きていく中では習った事はきっと何かの糧にはなっていると思います。

しかし、逆恨み的にベラベラと他人に教えを悪口のように言ってはならないですね。

此れは人間的に恥ずかしい問題であり軽はずみな行動ですね、其れで指導者が社会的に不利な立場にでもなってしまったなら大問題です。

ですから、どこの流派でも他言無用の誓約書を書いてもらっている訳ですが、教えから抜けて他人にもし話しているようであれば約束違反ですから訴えられても仕方がないですね。

その様にならない為に指導する側も、される側も金銭で繋がって要る、今はそういう割り切りの時代なんです。

 

 

因みに教えるのにも、教わるにも同じエネルギーを使うんですが・・・・教わる方が使うエネルギーは少ない事を忘れないで下さいね。

誰も来ない教室なんてごく普通にありますから、其れでも指導者は必ず行かなければなりません、だって誰かが来るかもしれないじゃないですか。

生徒や弟子たちは、今日は疲れたから休むか!、誰か来ているだろう!なんて気持ちかも知れませんが、誰も来ない日は指導者の一人稽古って割り切れるようになるのには結構時間が掛かります。

行く行かないは生徒の自由だろう!なんて思っていませんか。其れは教わる側の身勝手と云ったらお終いですが…武道の稽古なんてそんなものでしょうね。

芸の稽古も同じに捉えてみると、俺は良いものを作りたい!だから俺の考えた通りに動け、何故動けないんだ!という指導者が居て、俺たちはそこまではしたくないんだよ、どうせ跡取りじゃないし其処まで熱くないんだから!!と、思いの違い、いわゆる乖離があるから問題になるんです。

 

だから辛いんですね、孤独なんですよ指導者は、誰も知らないでしょうが。

知る訳ないですよね、誰にも言えないし言える訳がないんです。

教わる側は不満は幾らでも言えるんです、自分の出来ない事を棚に上げられるんですから、だけど指導者側や主催者側は誰にも言えない事実が有ります。

指示を出して誰も動かなければ自分が動くしかない、そして最後は妥協です。

最初に思い描いていたものが崩れて全く違う物に、此れでは良いものが出来ませんね。

 

武道でもたまに演武会を行いますが、毎回の事なのに思ったようには行きません。

練習時間が足りないんですから仕方がないのですが、其れは弟子や生徒の考え方で指導する側としては時間の調整をして早く来てくれよ、等と願うのです。

其れでも短時間でも参加してくれるのならうれしいですが、当日になって参加のドタキャンは胃が痛くなるんです。

イヤなもんですね。

 

 

責任配信:關山操次郎博伸

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